家族葬について
あらためて家族葬とは
家族葬とは、勤務先やご近所などの一般弔問客をお断りし、故人の家族や近親者のみで行うお葬式スタイルの事を言います。
はじめは東京など首都圏から徐々に増え始め、その後は大きな地方都市へと波及していきました。
特に、札幌のような核家族の多い大きな政令指定都市では、ここ10年ほどで急激に家族葬の割合が増加し、家族葬専用ホールも爆発的に増えました。
そして令和二年と三年では、世界中で猛威を振るっていた新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、お葬式の約95%が家族葬だったという統計データがあります(令和四年以降は一般葬の割合が増加)。
家族葬が増えた理由
本来のお葬式の形である外部の弔問客も参列する”一般葬※”から、家族葬へと主流が変化していった経緯は様々で、その主な要因としては以下の4点が挙げられます。
- 平均的な寿命の伸長(伸長と比例し、喪主を務める側も定年退職などで現役を退いた方が多くなり、社会とのつながりが減った為)。
- 世代交代によるお葬式に対する価値観の変化(自分のお葬式は簡素にしてほしい等)。
- ご近所や職場での付き合い方の変化(昔のように町内の繋がりが密ではなく、勤務先や町内会で葬儀の手伝いをすることも減った等)。
- 景気(1990年代前半のバブル崩壊による、それ以降の景気の長期低迷)。
このように、一つの理由だけではなく様々な要因が複合し、時代の変化とともに自然な流れとして「家族葬」が増えたと言えます。
※家族葬の割合が多くなった時期から、従来の葬儀形式のことを「一般葬」と呼ぶようになった。
家族葬の種類
家族葬と一言でいっても各ご家庭によりそのやり方は様々で、外部の他、親戚にも知らせず、「本当の家族だけで済ませる家族葬」もあれば、多くの親戚が集う「にぎやかな家族葬」もあります。また、ご親戚の中でも普段からお付き合いのあるご親戚にだけお知らせをして、その方たちだけに来てもらう「近親者限定の家族葬」、親戚の他に親しい友人にだけ来てもらう「親戚+友人限定の家族葬」もあります。
ちなみに札幌では、多くの親戚が集う「にぎやかな家族葬」が一番多い傾向にあり、その次に「近親者限定の家族葬」、「家族だけで済ませる家族葬」、「親戚+友人限定の家族葬」の順となります。
家族葬と間違えやすい「密葬」
家族葬と密葬、どちらも「家族や親戚などの限られた者のみで行う」という点では、同じです。
よく見受けられることですが、ご家族が亡くなり、その旨をご親戚などへお知らせする際、家族葬のことを「密葬でおこなう」とおっしゃる方がいらっしゃいます。
家族葬と密葬の違いが判らず、このように伝えてしまう気持ちもわからなくはありません。
そんな間違えやすい「家族葬」と「密葬」ですが、その言葉の意味には大きな違いがあります。
そもそも密葬とは?(家族葬との違い)
密葬とは、本葬儀(本葬)を行うことを前提として使われる言葉で、本葬をする前に近親者のみで故人を荼毘(火葬)に付すことを言います。つまり、本葬ありきの「密葬」なのです。
例えば、企業や団体の代表者や著名な方が亡くなった際、交際範囲の広さや社会的地位の関係ですぐに本葬を行うことが難しい場合に、よく「密葬」が行われます。
そして後日改めて、社葬・団体葬・お別れ会などの「本葬」を行います。
その他にも、様々な諸事情で居住地ではない地域で亡くなり、現地で荼毘(火葬)に付した後、地元で葬儀を行った場合でも、「密葬」をして「本葬」をしたと言えます。
たしかに、家族葬も密葬も外部に知らせず行うという点では同じですが、荼毘に付した後に改めて「葬儀をするか」「葬儀をしないか」という大きな違いがあります。
前項のように、ご親戚へ家族葬のことを密葬と伝えてしまうと、「じゃあ本葬はいつやるんだ?」と聞かれることもありますので、注意が必要です。
家族葬のメリットとデメリット
家族葬という葬儀形式は、時代の変化に合わせて自然な流れとして増えてきた葬儀形式なので、デメリットよりもメリットのほうが多いと言えます。しかしながら、亡くなった方どなたにでも合う葬儀形式というわけでもないので、注意が必要です。
つぎに、「家族葬」でお葬式を行う際の主なメリットとデメリット(注意点)をまとめてみました。
家族葬のメリット
- 一般弔問客の対応など、外部への気遣いの心配がない。
- その分、落ち着いてゆっくり故人とのお別れの時間が持てる。
- お葬式に掛かる費用の内訳も、一般葬と比べわかりやすく費用の負担軽減になる。
- 式場選びに会葬者人数などを考慮する必要がなく、お葬式の日程や場所など自由度が拡がる。
- 人数によっては住み慣れた自宅でのお葬式も可能。
- 不慮の事故など思いがけない不幸の時にも対応しやすい。
- 外部の目を気にすることなく、形式にとらわれず自由にできる。
家族葬のデメリット
- 故人がまだ若年層だったり、社会的に「現役」と呼ばれる働き盛り世代など、社会的なつながりが多い世代には不向きな葬儀形式。
- 生前ご友人やお付き合いの多かった方ほど、後に知った方の弔問対応が大変。
- 香典が見込めない分、遺族の費用負担が一般葬よりも増えてしまうことがある(お葬式の基本である「香典から葬儀費用を賄っていく」ということができないため)。
- 家族だけで葬儀を行った場合、後から知らされた親戚からお叱りを受けたり苦言を呈されたりし、親戚によっては関係が悪くなってしまうことがある。
最適な家族葬をおこなうために
家族葬で葬儀を挙げる際は、そのメリット(良い部分)だけではなくデメリット(注意点)も充分に考慮する必要がありますので、最善な方法での家族葬を見つけていただければと思います。
当社にご相談いただければ、親身に対応し各ご家庭に合わせたより良いお葬式方法をアドバイス、ご提案させていただきます。