今回は、”生活保護を受給されている方のお葬式”、「福祉葬」についてちょっとお話をしたいと思います。
申請に関することや、「申請するにあたっての諸条件」・「申請しても受理されないケース」なども、例を出しながらわかりやすくご説明をしたいと思います。
ちなみに、当社は札幌市の葬儀社なので、途中で札幌市の葬祭扶助の例を織り交ぜながらお話を進めていきますが、全国的にはほぼ同じ流れ・基準になると思います。
生活保護法
我が国日本には、やむを得ない諸事情によりどうしても生活に困窮してしまった国民のために、最後の頼みの綱として「生活保護法」という法律があります。
この法律には「日本国民は必要最低限度の生活・文化的な生活水準を維持できる」と明記されており、本当に生活に困ってしまった時には、国民を護ってくれる非常にありがたい法律です。
お葬式にも適用される法律
この法律は生活保護を受けている方のお葬式の費用にも適用され、各自治体が定めた費用の範囲内で葬儀を行います。ちなみにその葬儀費用の事を「葬祭扶助」といいます。
この「葬祭扶助」を支給していただくには事前(荼毘に付す前)の申請が必要で、その申請次項の諸条件をクリアし受理をされたら、支給されることとなります。
申請
生活保護を受けている方が亡くなった際は、遺族はまずはじめに生活保護を受けている区役所(保護課)へ赴き、そこで担当係の方とご相談をして葬祭扶助の申請をするのですが、この葬祭扶助、実は申請した人全員が受理(支給)されるというわけではないんです。
それはなぜかと申しますと、同じ生活保護の方でも「故人が置かれている状況や申請する方の状況によって変わってくるから」なんです。
不正受給を防ぐ側面もある申請
この申請には「不正受給を防ぐ」という意味合いもあります。たまにニュースにもなりますが、残念ながらごく一部、この法律を悪用して生活保護の不正受給をされている方もいますので、そのあたりの防止策にもなっています。
問題がなければ、概ね支給
とは言っても、既に生活に困窮して生活保護を受けているので、申請に何の問題も無ければ、ほぼ支給されます。
では、どのようなケースでは受理されないのことがあるのか、事項で説明したいと思います。
申請条件
これからご説明する申請条件というのは、あくまでも「ご夫婦」や「親子」の関係の方が申請者という前提です。
故人からみて傍系(ご兄弟・いとこ・甥・姪等)となるご親戚は、この限りではありません。また、親子の関係でも「ご結婚により姓が変わり、他家へ嫁いだ方」も基本的には傍系の方と同じです(例外はあります)。
その1「喪主も生活保護であること」
例えば、ご夫婦で生活保護を受けている場合、喪主となる方は配偶者となりその方も生活保護を受けているので、この場合は概ね支給されます。これは未成年者が喪主を務めることとなる、親子の生活保護世帯でも同じです。
生活が困窮し、実際に生活保護を受けているのは故人ということになりますので、その故人の生活保護世帯とは離れ、すでに別生活を営んでいるご家族の方が喪主を務める場合というのは、支給されないことがあります。
この申請条件で受理されないケース
ちょっと極端な言い回しですが、わかりやすく例えると「親は生活保護でも子供は裕福」という場合は、葬祭扶助は出ないということです(実際にそのような例はほとんどありませんが、ごく稀にあります)。
喪主を務める方が、一定以上余裕のある経済力があると認められた場合は、受理されないということですね。
実はこのケースでも受理されることがあるのですが、それはどのようなケースかというと、ちょっと寂しいお話ですが「絶縁状態で今後もご遺体の引き取りはもちろん、お骨の引き取りも拒否」した場合です。
その2「喪主が札幌市民であること」
生活保護を受けている世帯から離れ、すでに生活保護を受けずに別生活を営んでいるとはいっても、まだ経済的な余裕がない場合は支給されるケースも多くあります。
しかしながら、その際の前提条件として「札幌市民である」ことが挙げられます。
これは当然といえば当然かもしれませんが、「札幌市民から納められた税金(財政)で、札幌市民である生活保護の方の葬祭扶助を賄うこととなる為」です。
この申請で受理されないケース
国の憲法で保障はされているとはいっても、基本的には各自治体の財政から賄っている制度なので、札幌市民ではない家族の方が喪主を務める場合は、原則的に支給対象とはなりません。
しかしながら、すべてが受理されないというわけでもなく、一つ例を挙げると「喪主が独立して(札幌から離れて)まだ間もなく、経済的余裕が全くない」という場合は、保護課担当の方もそのあたりの家庭事情を充分知っているので、柔軟に対応してくれます。
独居で身寄りがない方の場合
独居で身寄りのない方は、地域の民生委員の方や病院のご協力をいただき、ご葬儀を行います。
故人が住んでいた担当区域の民生委員の方に、亡くなった方の死亡届の届出人と葬祭扶助の申請人となっていただきます。
その他にも、病院の医院長のお名前で死亡の届出・葬祭扶助申請をする場合もあります。(病院に故人の面倒を見ていた社会福祉士のケースワーカーさんがいる場合に限る)。
届出人がいない場合は、区役所保護課担当係の方がなるケースもありますし(一定以上の役職者の名義)、ごく稀にですが、故人が住んでいたアパートやマンションの大屋さんや不動産会社になっていただく場合もあります。
福祉葬も、任せて安心の葬儀社に
以上のように、「福祉葬」と一言で言っても様々なパターンや申請の方法があり、今回ご紹介したのは、その中のほんの一例です。
葬儀社にもある程度の生活保護に関する知識が必要となり、葬儀社を選ぶ際も専門的に扱っている方が、安心して葬祭扶助の申請に関することなども任せることができます。
もちろん当社も専門的に福祉葬を行っておりますので、何か生活保護の葬祭扶助に関してわからないことや素朴な疑問がございましたら、お気兼ねなくご相談ください。
令和6年4月より葬祭扶助の基準額が変更となりましたので、詳しくは当社ホームページの「福祉葬」をご覧ください。